LastPass と Junify の違い、法人の共有アカウントを担当者に使わせるときの使い分け
社員それぞれのパスワードを保管して共有フォルダーで配るなら LastPass が合います。共有アカウントをパスワードを見せずに使わせ、外れた人をパスワードを変えずに止めたいなら Junify が合い、LastPass の代わりにも使えます。
LastPass は、社員がパスワードを保管庫(パスワードを入れておく場所)に入れ、共有フォルダーで配って自動で入力するパスワードマネージャーです。Junify は、会社の共有アカウントを、担当者にパスワードを見せずに使わせるサービスです。社員一人ひとりのパスワードの保管には LastPass が、複数の担当者に同じアカウントを使わせるには Junify が合います。
LastPass Business が担うこと
法人向けの契約プランには Teams、Business、Business Max があり、使える機能はプランで違います。
共有の中心は共有フォルダーです。権限は人ごとに選べます。読み取り専用、Hide Passwords(パスワードを見せずに自動入力だけさせる)、フォルダーの管理の 3 つで、公式ヘルプは読み取り専用と Hide Passwords を両方有効にするよう勧めています。
利用者の操作の記録には、誰が・いつ操作したかとともに、保管庫へのログイン、項目の変更、自動入力、書き出し、印刷などが並び、設定で項目の URL やユーザー名も残せます。
このほか、次の機能があります。
- Business では、会社の ID 管理サービス(Microsoft Entra ID、Okta など)のアカウントで LastPass にログインできる。LastPass を入口にして入れるサービス(SSO アプリ)も 3 つまで設定できる
- Business Max では、社員がどのサービスにログインしたかを一覧にし(SaaS Monitoring)、サービスごとに開くのを止められる(SaaS Protect)
共有アカウントで、LastPass の範囲の外に残ること
共有アカウントを担当者に使わせる場面では、次の 5 つが問題になります。初めの 3 つは公式ヘルプ自身が書いている注意点、4 つ目は確かめられなかった点です。
隠して共有しても、手に入れる方法は残る
公式ヘルプは、隠したパスワードも、高度な手段や別のパスワード管理ソフト、ログイン画面の表示ボタンで手に入りうるとしています。そのため、共有するのはそのサイト専用の強いパスワードで、知られても困らないものに限るよう勧めています。各社の比較はパスワードを見せない共有設定の記事にあります。
人を外すときは、共有していたパスワードを変える
公式ヘルプは、社員のアカウントを止めるときは、会社で共有しているパスワードをすべて変えるよう強く勧めています。見える形で共有された人は、ほかの場所に控えているかもしれず、パスワードを変えない限り、会社の外からも使えるからです。手順はパスワードマネージャーで共有していた人が辞めるときの記事にあります。
自動入力の記録は、監査の証拠には使わないよう書かれている
管理画面の記録のうち、自動入力やメモを開いた操作は、利用者の端末のアプリが送って残ります。公式ヘルプは、これらは途中で書き換えられたり失われたりしうるとし、監査の証拠には頼らないよう書いています。
ログインした後のサービスにも及ぶか
人を止めたときに止まるのは LastPass の利用です。ログインした後の画面での操作を残す機能、ダウンロードを止める機能、サイトのログインしたままの状態(セッション)を終わらせる機能は、公式ヘルプでは確かめられませんでした。SaaS Protect が止めるのはサービスを開こうとしたときで、開いているセッションに効くかは確かめられませんでした。
使う人には、LastPass のアカウントが要る
アカウントのない人とはフォルダーを共有できず、招かれた人が先にアカウントを作ります。仮のアドレスで登録はできますが、使い始めるにはメールアドレスへの招待が要ります。
Junify が担うこと
担当者はパソコンの画面の QR を自分のスマホの Junify アプリで読んで本人確認をするので、メールアドレスがない人も使えます。
パスワードは Chrome の拡張機能が入力し、担当者には見せません。ログインは Chrome のシークレットウィンドウ(すべて閉じると履歴とクッキーが消えるウィンドウ)で開きます。保管庫にもブラウザーにも、パスワードの写しは残りません。サービスのクッキーも、いつもの Chrome には入りません。管理者が遠隔で終了すればシークレットウィンドウがすべて閉じ、そのパソコンのログイン状態も消えます。使っている途中で許可した場所や IP アドレス(接続元を示す番号)を外れても、そのアカウントのタブを閉じ、そのサービスのクッキーを消します。
管理者は、アカウントごとに使ってよい人を決めます(割り当て)。外れた人は割り当てを外せば入れません。誰が・いつ使ったかは一人ずつ残り、録画を AI に要約させることもできます。
ダウンロードをアカウントごとに許可・禁止でき、アップロードと印刷は検知して管理者に知らせます。認証アプリ方式の二段階認証なら、コードも Junify が入力します(SMS やメールで届くコードは対象外)。
LastPass と Junify を併用するとき
分ける基準は、パスワードを本人が知ってよいかどうかです。社員が自分で使うアカウントは LastPass に、担当者に使わせる共有アカウントは Junify に置きます。
移すアカウントは、サービス側でパスワードを変えて Junify にだけ登録し、共有フォルダーの項目を消します。変えずに移すと、それまでフォルダーを使えた人が、知っているパスワードでそのまま入れます。
どちらが合うか
LastPass の欄は公式ヘルプに書かれていることだけで、書かれていないことは「確かめられなかった」としています(できないという意味ではありません)。
| 比べる点 | LastPass Business | Junify |
|---|---|---|
| 担当者がパスワードを見るか | Hide Passwords で隠せる。手に入れる方法は残る | 見せない。保管庫にもブラウザーにも写しが残らない |
| 人を外したとき | 止めたうえで、共有していたパスワードを変える | 割り当てを外せば入れない |
| 誰が使ったかの記録 | 誰が・いつ何をしたかを一件ずつ(自動入力は端末からの報告) | 誰が・いつ使ったかを一人ずつ。録画もできる |
| ログインした後の操作 | 確かめられなかった | ダウンロードの許可・禁止、アップロードと印刷の検知 |
| ログインした後のセッション | LastPass の利用が止まる。サイトのセッションを終わらせる機能は確かめられなかった | Junify のウィンドウの中にある。遠隔で終了でき、場所・IP の条件を外れると閉じる |
| 二段階認証のコード | 保管庫で作り、サイトが許せば自動入力 | 認証アプリ方式のコードを入力する |
| 使う人に要るもの | LastPass のアカウント(メールアドレスへの招待が要る)と拡張機能 | スマホの Junify アプリと Chrome の拡張機能 |
人が外れるたびにパスワードを変える作業は、Junify では要りません。また、LastPass は使える状態にするのにメールアドレスへ招待を送りますが、Junify はメールアドレスのない人も使えます。この 2 点は、Junify がはっきり上回ります。
LastPass だけで足りるのは、共有する相手が信頼している社員だけで、人が抜けるたびに共有のパスワードを変えられる会社です。全員が LastPass のアカウントを持てる場合や、スマホのアプリからも使いたい場合も LastPass が合います。SSO アプリやサービスの利用状況の一覧を同じ製品にまとめたいときも同じです。
Junify が合うのは、担当者にパスワードを渡したくない共有アカウントがある会社です。人の入れ替わりが多い、LastPass のアカウントやメールアドレスのない人にも使わせる、ログインした後の操作やセッションまで管理したい、という場合も当てはまります。
よくある質問
LastPass の代わりに Junify を使えますか
共有アカウントについては使えます。担当者にパスワードを見せずにログインさせ、外れた人は割り当てを外せば入れません。社員が自分で使うパスワードは LastPass に残す、という分け方もできます。
LastPass で隠して共有すれば足りますか
公式ヘルプは、隠しても別のパスワード管理ソフトなどで手に入りうるとし、共有するのはそのサイト専用の強いパスワードで、知られても困らないものに限るよう勧めています。辞めた人がいれば変えることになります。
LastPass で誰が自動入力したか分かりますか
管理画面で見られる、利用者の操作の記録に出ます。ただし公式ヘルプは、自動入力の記録は利用者の端末から送られ、書き換えや欠けがありうるので、監査の証拠には頼らないよう書いています。
LastPass のアカウントがない人とも共有できますか
共有フォルダーでは共有できず、招かれた人が先に LastPass のアカウントを作ります。Junify は、スマホの Junify アプリで本人確認ができれば、メールアドレスがない人も使えます。
LastPass と Junify は一緒に使えますか
使えます。社員が自分で使うパスワードは LastPass に、担当者に使わせる共有アカウントは Junify に分けます。移すときはサービス側でパスワードを変え、共有フォルダーの項目を消します。
Junify の場合
- 人手で続けると
- 共有アカウントを安全に使い続けるなら、誰がパスワードを知っているかの一覧を保ち、人が入れ替わるたびに変えて配り直し、同じ ID で誰が操作したかを別に記録することになります。
- Junify なら
- 担当者には Junify がパスワードを入力して本人には見せないので、外れた人は割り当て(使ってよい人の指定)を外すだけで入れません。LastPass で人が抜けるたびに続けてきた、共有のパスワードを変えて配り直す作業はなくなります。移すときにパスワードを変えて Junify だけが持ちます。LastPass のアカウントやメールアドレスのない人も使え、誰が・いつ使ったかは一人ずつ残ります。
参考資料
- LastPass Support「How do I manage shared folders in LastPass?」
- LastPass Support「About hidden passwords in shared items」
- LastPass Support「About terminating user accounts」
- LastPass Support「How do I create general reports in LastPass?」
- LastPass Support「User activity events in LastPass general reports」
- LastPass Support「About TOTPs for your password items」
- LastPass Support「Add users who don't have an email address yet」
- LastPass Support「What is federated login for LastPass?」
- LastPass Support「About LastPass SSO app integrations」
- LastPass Support「About SaaS Monitoring」
- LastPass Support「About SaaS Protect」
- LastPass Support「End user experience of SaaS Protect」
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(平成 28 年 4 月 1 日改正)
- Junify「Junify の仕組み」
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