1Password と Junify の違い、共有アカウントを担当者に見せずに使わせるときの使い分け
社員それぞれのパスワードを保管して共有するなら 1Password が合います。共有アカウントを担当者に見せずに使わせ、外れた人をパスワードを変えずに止めたいなら Junify が合います。両方を分けて使うこともできます。
1Password は、社員がパスワードを保管庫(パスワードを入れておく場所)に保管し、共有して自動で入力するパスワードマネージャーです。Junify は、会社の共有アカウントを、担当者にパスワードを見せずに使わせるサービスです。社員それぞれのパスワードの管理には 1Password、共有アカウントを担当者に使わせるには Junify が合います。
1Password が担うこと
法人向けの契約プランには Teams や Business があり、機能はプランで違います。
保管庫は、社員やグループ(社員をまとめた単位)ごとに共有できます。Teams の権限は閲覧・編集・管理の 3 つで、閲覧には隠れたパスワードの表示とコピーが含まれます。Business では、項目の閲覧・作成・編集・削除などを別々に許可でき、パスワードの表示とコピーも保管庫ごとに切り替えられます。
Business の使用状況レポートには、過去 12 か月に誰がどの項目をコピー・自動入力・表示したかが出ます。保管庫に人を加えた、権限を変えたといった管理の操作も、日時と操作した人つきで記録に残ります。
このほか、次の機能があります。
- 認証アプリに出る使い捨てのコードを項目に保存し、ID・パスワードと一緒に自動入力する(Android ではコピーして貼る)
- 社外の人をゲストとして招き、1 つの保管庫だけを共有する
- Business では、会社の ID 管理サービス(Okta、Microsoft Entra ID など)のアカウントで 1Password にログインできる。社員の追加や停止も ID 管理サービスから行える
1Password は、クラウドやデータベースへの権限を必要なときだけ与え、利用を記録して AI に要約させる Privileged Access なども案内しています。この記事が比べるのはパスワード管理です。
共有アカウントで、1Password の範囲の外に残ること
共有アカウントを担当者に使わせる場面では、次の 4 つが問題になります。初めの 2 つは公式ヘルプ自身が書いている限界、3 つ目は公式ヘルプでは確かめられなかった点です。
隠しても、パスワードの値は担当者の端末にある
Business で表示とコピーを許可しなければ、担当者のアプリにパスワードは表示されません。しかし公式ヘルプは、この権限を守りの強さの 3 段階のいちばん弱い段階としています。アプリが止めているだけで、読める状態のデータは担当者の端末にあり、手間をかければ取り出せるからです。そのため、悪意のある行動を防ぐ目的では頼らないよう書いています。各社の比較はパスワードを見せない共有設定の記事にあります。
人を外すときは、パスワードを変える
公式ヘルプの退職者の手順には、その人と共有していたパスワードを変える工程があります。ゲストを外すときも、項目を写していたおそれが気になるなら、使えたパスワードをすべて変えるよう書いています。止めた時にオフラインだった端末では、次につないで開くまで項目を使えます。手順はパスワードマネージャーで共有していた人が辞めるときの記事にあります。
ログインした後のサービスにも及ぶか
使用状況レポートに出るのは保管庫の中の操作で、人を止めて閉ざされるのも保管庫です。自動入力の後にサービスの画面で何をしたかを残す機能、ダウンロードを止める機能、サイトのログインしたままの状態(セッション)を終わらせる機能は、パスワード管理の公式ヘルプでは確かめられませんでした。
メールやリンクで招くには、メールアドレスが要る
メールで招くときは実際に受信できるアドレス、登録用のリンクで招くときは会社が許可したドメインのアドレスが要ります。会社のアドレスがないパート・アルバイトには、受信できるアドレスを別に用意します。
Junify が担うこと
担当者は、自分のスマホの Junify アプリで本人確認をしてから、共有アカウントを選びます。パスワードは担当者のパソコンで Chrome の拡張機能が入力し、担当者には見せません。本人確認はパソコンの画面の QR をスマホで読むので、メールアドレスがない人も使えます。
ログインは Chrome のシークレットウィンドウ(すべて閉じると履歴とクッキーが消えるウィンドウ)で開きます。担当者はパスワードを受け取らないので、ブラウザーにもパスワードマネージャーにも保存されません。サービスのクッキーも、いつもの Chrome には入りません。管理者が遠隔で終了すればシークレットウィンドウがすべて閉じ、そのパソコンのログイン状態も消えます。使っている途中で許可した場所や IP アドレス(接続元を示す番号)を外れても、そのアカウントのタブを閉じ、そのサービスのクッキーを消します。
管理者は、アカウントごとに使ってよい人を決めます(割り当て)。割り当てを外せば、その人は入れません。パスワードを見せていないので、人が外れるたびに変えて配り直す必要はありません。誰が・いつ使ったかは一人ずつ残り、録画を AI に要約させることもできます。
ダウンロードはアカウントごとに許可・禁止でき、アップロードと印刷は検知して管理者に知らせます。認証アプリ方式の二段階認証のコードも Junify が入力します(SMS やメールのコードは対象外)。共有アカウントについては、Junify を 1Password の代わりに使えます。
1Password と Junify を併用するとき
分け方は、パスワードを本人が知ってよいかで決めます。本人だけが使うアカウントは 1Password に、担当者に使わせる共有アカウントは Junify に置きます。
移すときは、サービス側でパスワードを変え、新しい値は Junify にだけ登録します。変えずに移すと、それまで保管庫を使えた人は、知っているパスワードでそのまま入れます。
どちらが合うか
1Password の欄は公式ヘルプと公式サイトの記述だけで書き、「確かめられなかった」は、できないという意味ではありません。
| 比べる点 | 1Password Business(パスワード管理) | Junify |
|---|---|---|
| 担当者がパスワードを見るか | 権限で隠せる。項目の写しは担当者の端末の保管庫に残る | 見せない。保管庫にもブラウザーにも写しが残らない |
| 人を外したとき | 止めたうえで、使えたパスワードを変える | 割り当てを外せば入れない |
| 誰が使ったかの記録 | 誰がどの項目を表示・コピー・自動入力したか(項目ごとに最後の日時) | 誰が・いつ使ったかを一人ずつ。録画もできる |
| ログインした後の操作 | パスワード管理の公式ヘルプでは確かめられなかった | ダウンロードの許可・禁止、アップロードと印刷の検知 |
| ログインした後のセッション | 保管庫が止まる。サイトのセッションを終わらせる機能は確かめられなかった | Junify のウィンドウの中にある。遠隔で終了でき、場所・IP の条件を外れると閉じる |
| 二段階認証のコード | 保管庫に入れて自動入力できる(Android はコピーして貼る) | 認証アプリ方式のコードを入力できる |
| 使う人に要るもの | メールアドレス(メールで招くときは受信できるもの)と 1Password のアプリ | スマホの Junify アプリと Chrome の拡張機能 |
1Password だけで足りるのは、共有する相手が信頼している社員だけで、人が抜けるたびに共有のパスワードを変えられる会社です。使う人が全員メールアドレスを持ち、記録が保管庫の中の操作で足りる場合や、スマホのアプリからも使いたい場合もそうです。
Junify が合うのは、担当者にパスワードを渡したくない共有アカウントがある会社です。人の入れ替わりが多い、メールアドレスのない人にも使わせる、ログインした後の操作まで残したい、ログインを途中でも終わらせたい、という場合も当てはまります。
よくある質問
1Password の代わりに Junify を使えますか
共有アカウントについては使えます。担当者にパスワードを見せずにログインさせ、外れた人は割り当てを外せば入れません。社員が自分用のパスワードを保管する用途は 1Password に残す、という分け方もできます。
1Password で隠して共有すれば足りますか
公式ヘルプは、表示とコピーの権限をアプリだけが守るいちばん弱い段階とし、悪意のある行動を防ぐ目的では頼らないよう書いています。外した人が使えたパスワードは変えることになります。
1Password で誰が使ったか分かりますか
Business の使用状況レポートで、過去 12 か月に誰がどの項目を表示・コピー・自動入力したかが分かります。ログインした後のサービスの画面での操作の記録は、パスワード管理の公式ヘルプでは確かめられませんでした。
1Password と Junify は一緒に使えますか
使えます。社員それぞれのパスワードは 1Password に、担当者に使わせる共有アカウントは Junify に分けます。移すときはサービス側でパスワードを変え、Junify にだけ登録します。
Junify を使うには何が要りますか
担当者のスマホの Junify アプリと、パソコンの Chrome の拡張機能です。本人確認はスマホでパソコンの画面の QR を読む形なので、メールアドレスがない人も使えます。
Junify の場合
- 人手で続けると
- 共有アカウントを安全に使い続けるなら、誰がパスワードを知っているかの一覧を保ち、人が入れ替わるたびに変えて配り直し、同じ ID で誰が操作したかを別に記録することになります。
- Junify なら
- 社員それぞれのパスワードは 1Password に残し、担当者に使わせる共有アカウントだけを Junify に移せます。移した分は、人が外れるたびにパスワードを変えて保管庫の項目を書き換える作業がなくなります。移すときにパスワードを変えて Junify だけが持ち、担当者には見せません。割り当て(使ってよい人の指定)を外せば入れず、誰が・いつ使ったかは一人ずつ残ります。
参考資料
- 1Password Support「Create, share, and manage vaults in your organization」
- 1Password Support「How vault permissions are enforced in 1Password accounts」
- 1Password Support「Create reports in 1Password Business」
- 1Password Support「About 1Password Business」
- 1Password Support「Offboard a team member」
- 1Password Support「Add and remove team members」
- 1Password Support「Get to know 1Password in your browser」
- 1Password Support「Share with guests in your organization」
- 1Password Support「Use 1Password as an authenticator for sites with two-factor authentication」
- 1Password Support「Set up 1Password Unlock with SSO」
- 1Password「Unified Access Management Platform」
- 1Password「Just-in-time Privileged Access」
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(平成 28 年 4 月 1 日改正)
- Junify「Junify の仕組み」
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パスワードを見せない共有設定で、パスワードは守れるか
守れません。LastPass・1Password など 4 社の公式ヘルプはどれも、隠して共有しても、相手が取り出す余地は残ると書いています。共有した相手にはパスワードを渡したものとして扱い、外したらパスワードを変えます。