SaaS のファイルのダウンロードを禁止・制限する方法
止める場所は 3 つです。サービスの権限で止める、会社が管理していない端末からのときだけ止める、ブラウザーの設定で止める。どれでも止められない分は、書き出してよい人と置き場所を決め、記録で補います。
SaaS(インターネット経由で使う業務ソフト)のファイルのダウンロードを止める方法は、どこで止めるかで 3 つに分かれます。ダウンロードしたファイルは端末の中に移るので、あとからサービスの権限を外しても手元のファイルは消えません。止めるなら、ダウンロードする前の段階で止めることになります。
サービスの権限で止める
サービス自身の権限なら、人ごと、フォルダーやアプリごとに、見るだけの人とダウンロードできる人を分けられます。公式ヘルプで確かめた 3 つのサービスを並べます。
| サービス | 止める設定 | 使える条件 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Google ドライブ | データ保護ルールの「ダウンロード、印刷、コピーの無効化」 | Enterprise Standard など一部の契約プラン | 全員を止めても、編集者は文書内の文字と画像をコピーできる。プレビューからの印刷は残る |
| Box | フォルダーに招待する人の役割を「プレビューアー」にする | Business・Enterprise で、管理者が有効にしたとき | より広い権限の共有リンクから入った場合。スマホアプリのオフライン保存 |
| kintone | アプリのアクセス権で「ファイル書き出し」を付けない | アプリごとに設定する | レコードの添付ファイルを開いて保存する操作を止めるとは、ヘルプに書かれていない |
Google ドライブでは、管理者がデータ保護ルール(管理画面で作る、情報の持ち出しを止める決まり)で止めます。止める相手は、コメント投稿者と閲覧者だけか、オーナーを含む全員かを選べます。使える契約プランは、ヘルプの一覧では Enterprise Standard・Plus と、Frontline・Education の一部などです。Business の各プランは入っていません。ファイルをすでに開いている人には、開き直すまで制限が届かないとも書かれています。
Box(ファイルを共有するクラウドのサービス)では、フォルダーに招待する人の役割で決めます。公式ヘルプの表では、ビューアーはダウンロードと印刷ができ、プレビューアーはどちらもできません。プレビューアーができるのはプレビュー(手元に保存せずに画面で中身を見ること)だけで、文字の選択とコピーもできないとされています。1 つのファイルだけの共有では、編集者とビューアーしか選べません。同じ人が複数の権限を持つときは、いちばん制限の少ないものが優先されます。管理者が設定で許せば、プレビューアーも Box のスマホアプリにオフライン用としてファイルを保存できます。
kintone(業務アプリを作るサイボウズのサービス)では、アプリごとの「アプリのアクセス権」に[ファイル書き出し](レコードのデータを CSV ファイルにまとめて書き出す権限)があります。公式ヘルプによれば、初期設定ではアプリを作った人だけに許可されています。書き出すには[レコード閲覧]の権限も要ります。システム管理者は、全員を指す[Everyone]グループにこの権限を付けられないようにもできます。
会社が管理していない端末からは止める
社内の端末では許し、私物端末や自宅のパソコンからは止めたい場合は、端末を見て制限を変える設定を使います。
Microsoft 365 の SharePoint(社内でファイルを共有するサイト)と OneDrive(個人用のファイル置き場)では、SharePoint 管理センターで設定します。「管理されていないデバイス」の画面で「制限付きの、Web のみのアクセスを許可する」を選びます。Microsoft のドキュメントによれば、会社が管理していない端末からはブラウザーでしか開けなくなります。ダウンロード・印刷・同期(手元のフォルダーと自動でそろえる仕組み)はできず、プレビューはできます。この仕組みは、Microsoft Entra ID の条件付きアクセス(端末や場所などの条件で、入れるかどうかを決める設定)をもとにしています。条件付きアクセスを使うには、Microsoft Entra ID P1 の契約か、Microsoft 365 Business Premium が要ります。
同じドキュメントは注意点も挙げています。まず、サインインなしで開ける「すべてのユーザー」リンクは対象の外で、そのリンクを持つ人はダウンロードできます。対象のサイトでは、このリンクを無効にする必要があります。プレビューできない種類のファイル(.zip など)だけダウンロードを許す設定もあり、選ぶと安全性が下がると書かれています。反映には最大 24 時間かかり、すでにサインインしている人には当たりません。
Google ドライブでは、上のデータ保護ルールを、コンテキストアウェア アクセスの条件と組み合わせられます。これは、端末の安全の状態や場所、IP アドレスに応じてアプリを使わせるかを決める Google の機能です。条件を満たさない端末からのときだけダウンロードを止める使い方です。組み合わせのヘルプによれば、使えるのはデータ保護ルールを使えるプランから Education Fundamentals を除いたものです。パソコンの状態を条件にするには、エンドポイントの確認(端末の状態を Google に知らせる仕組み)を有効にしておく必要があります。
ブラウザーの設定で止める
サービスに設定がなくても、Chrome なら会社が配る設定でブラウザーの側で止められます。使うのは Chrome Enterprise Core(Chrome を管理画面から管理する、追加料金なしの仕組み)の DownloadRestrictions という設定です。値を 3 にするとすべてのダウンロードが止まりますが、Google のヘルプは特別な用途以外には勧めていません。値はどれもサイトを選ぶものではないため、業務と関係のないサイトのダウンロードも一緒に止まります。
止まるのは、ダウンロードのリンクを押した場合と、右クリックの「名前を付けてリンク先を保存」です。ヘルプは、メニューの「ページを別名で保存」と、印刷の「PDF 形式で保存」には適用されないとしています。設定を当てられるのは、会社が登録したパソコンの Chrome と、会社が管理するアカウントでログインした Chrome です。後者は私物のパソコンにも当たりますが、ダウンロードの制限はスマホの Chrome では使えません。それ以外の Chrome や別のブラウザーでは、この設定は働きません。私物端末に設定が届く条件は私物端末に残る業務の情報と、残さずにウェブサービスを使わせる方法で説明しています。
設定のないサービスと共有アカウント
共有アカウント(1 つの ID とパスワードを複数人で使うアカウント)では、サービスの権限で人を分けられません。権限はアカウントに付くので、同じアカウントを使う人は全員が同じ操作をできます。そのうちの 1 人だけ書き出しを止めることはできません。
権限でもブラウザーでも止められない分は、決まりと記録で補います。決めるのは、書き出してよい人と目的、ファイルを置く場所、消す時期、誰がいつ書き出したかの記録です。決め方の例はEC 運営代行で、受注データや顧客データの書き出しをどう制限するかにあります。決まりは書き出しの操作そのものを止めないので、守られたかはあとから確かめることになります。
ダウンロードを止めても残る経路
ここで扱った設定が止める対象に挙げているのは、ダウンロード・書き出し・印刷・コピー・同期で、画面を撮影する操作は含まれていません。画面で見せる以上、内容は担当者の目に入ります。ダウンロードの制限は、ファイルを丸ごと手元に移す操作を減らすものと位置づけ、見られる人を絞る権限と組み合わせます。持ち出しの経路ごとの対策は、応募者情報の持ち出しを防ぐアクセス管理で採用の場面を例に整理しています。
よくある質問
見るだけの人にダウンロードさせない設定はありますか
Google ドライブはデータ保護ルールで「コメント投稿者と閲覧者のみ」を選べます。Box はフォルダーの役割をプレビューアーにします。どちらも使える契約プランに条件があります。
私物端末からだけダウンロードを止められますか
SharePoint と OneDrive は、管理していない端末をブラウザーだけの利用にしてダウンロードを止めます(Entra ID P1 などの契約が要る)。Google ドライブは端末の条件と組み合わせます。
Chrome の設定で特定のサービスだけ止められますか
DownloadRestrictions にはサイトを選ぶ値がなく、3 ですべてのダウンロードが止まります。届くのは会社が登録した Chrome と、会社のアカウントでログインしたパソコンの Chrome です。
共有アカウントで書き出しを止める方法はありますか
サービスの権限はアカウントごとに付くので、使う人の一部だけを止めることはできません。ブラウザーの側で止めるか、書き出してよい人・置き場所・消す時期を決めて記録で補います。
Junify の場合
- 人手で続けると
- SSO や多要素認証を入れても、対応していないサービスと共有のまま残るアカウントは手作業に残り、どこまでを仕組みで覆えているかを自分で把握し続けることになります。
- Junify なら
- ダウンロードの許可・禁止は、共有アカウントごとに Junify で決めます。禁止したアカウントは、Junify から開けば誰が使ってもダウンロードが止まり、担当者に「ダウンロードしたファイルを消したか」と聞いて回る作業が要らなくなります。アップロードと印刷は検知して管理者に通知し、誰が・いつ使ったかも一人ずつ残ります。パスワードは導入時に変えて Junify だけが持ちます。
参考資料
- Google Workspace Help「ユーザーがファイルをダウンロード、印刷、コピーできないようにする」
- Google Workspace Help「ドライブの DLP について」
- Google Workspace Help「コンテキストアウェア アクセスの概要」
- Box「コラボレータの権限レベルについて」
- kintone ヘルプ「アプリにアクセス権を設定する」
- kintone ヘルプ「ユーザーがアプリでできる操作」
- Google Workspace Help「DLP ルールとコンテキストアウェア アクセスの条件を組み合わせる」
- kintone ヘルプ「レコードのデータをファイルに書き出す」
- Microsoft Learn「アンマネージド デバイスからのアクセスを制御する - SharePoint in Microsoft 365」
- Microsoft Learn「Microsoft Entra 条件付きアクセス」
- Chrome Enterprise and Education ヘルプ「ユーザーが有害なファイルをダウンロードできないようにする」
- Chrome Enterprise and Education ヘルプ「Chrome Enterprise Core」
- Chrome Enterprise and Education ヘルプ「ユーザーまたはブラウザに Chrome のポリシーを設定する」
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