私物端末に残る業務の情報と、残さずにウェブサービスを使わせる方法
主に残るのは閲覧履歴、クッキー、保存したパスワード、パスワードマネージャーの写し、ダウンロードしたファイルです。閉じると履歴を消すウィンドウでもファイルは残ります。会社が配るブラウザーの設定と、パスワードを本人に渡さない形を組み合わせます。
私物のパソコンで業務のウェブサービスを開くと、端末にはいくつもの情報が残ります。主なものは 5 つで、閲覧履歴、クッキー、ブラウザーに保存したパスワード、パスワードマネージャーが端末に置く保管庫の写し、ダウンロードしたファイルです。消え方はそれぞれ違います。パスワードは、本人が知っていれば、端末の設定をどう組んでも手帳や自分のパスワードマネージャーに控えられます。残さないには、会社が配る Chrome の設定で保存とダウンロードを止め、パスワードは本人に渡さない形にします。
私物端末に残る主な 5 つのもの
クッキーは、サイトがブラウザーに保存させるファイルです。Chrome のヘルプは、その使い道の例として、ログインしたままの状態を保つことを挙げています。クッキーが残った端末では、次にそのサービスを開いた人が、ログインしたままの状態で入れることがあります。
5 つの残り方を並べます。「閲覧データの削除」は Chrome の「閲覧履歴データを削除」のことで、閉じると履歴を残さないウィンドウは次の節で説明します。
| 残るもの | どこに残るか | 閲覧データの削除 | 閉じると履歴を残さないウィンドウ |
|---|---|---|---|
| 閲覧履歴 | ブラウザー | 消える | 残らない |
| クッキー | ブラウザー | 消える | 閉じると消える |
| 保存したパスワード | 端末か、Chrome にログインした Google アカウント | 消えない | ヘルプに記載なし |
| パスワードマネージャーの写し | パスワードマネージャーのアプリや拡張機能 | 消えない | 関係なく残る |
| ダウンロードしたファイル | 端末のフォルダー | 一覧だけ消え、ファイルは残る | 残る |
このほか、開いたページの文字や画像の一時保存(キャッシュ)と、住所などの自動入力の項目も端末に残ります。どちらも閲覧データの削除で消えます。
Chrome が持つもののうち、閲覧データの削除で消えないのは保存したパスワードとダウンロードしたファイルです。Chrome のヘルプによると、保存したパスワードは削除の対象外で、パスワード マネージャーの画面から別に消します。ダウンロード履歴を消しても、消えるのはファイルの一覧で、ファイル自体はパソコンに残ります。退職のときに履歴の削除を頼むだけでは、パスワードとファイルは端末に残ります。
総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」第 5 版も、ブラウザーに記憶させたパスワードをコラムで取り上げています。端末が不正なプログラムに感染すると漏れるおそれがあるので、重要なサービスでは記憶させずに入力するよう勧めています。
閉じると履歴を残さないウィンドウで消えるもの
Chrome には、閉じると閲覧履歴やクッキーを残さない別のウィンドウがあります(Chrome のシークレットウィンドウ)。ヘルプによると、このウィンドウの中で保存されたクッキーやサイトのデータは、このウィンドウをすべて閉じた時点で消えます。
消えないものもあります。同じヘルプは、ダウンロードしたファイルは本人が消すまで端末に残り、追加したブックマークも残るとしています。パスワードを保存するかどうかの扱いは、このヘルプには書かれていません。また、消えるのはウィンドウをすべて閉じたときなので、開いたまま席を離れれば、ログインしたままの状態も残ります。
パスワードマネージャーが端末に置く写し
パスワードマネージャーを私物端末のアプリで使うと、保管庫の写しが端末に置かれます。Bitwarden と 1Password のヘルプによると、この写しは暗号化(第三者に読めない形にすること)されています。
利用を止めても、端末の写しはすぐには消えないことがあり、1Password と Bitwarden のヘルプはパスワードの変更を勧めています。止め方と変えるパスワードの選び方は、パスワードマネージャーで共有していた人が辞めるとき、何を止めて何を変えるかにまとめています。
端末に写しを置かせない設定もあります。1Password Business では、保管庫ごとに使えるアプリを選べます。すべてのアプリを外してウェブ版(1Password.com)だけを許せば、端末に写しが置かれないとヘルプは説明しています。この場合、会社の端末も含めて、その保管庫はブラウザーで開く形になります。
会社が配る Chrome の設定で止められること
Google の管理画面(管理コンソール)から配る Chrome の設定は、私物端末にも届きます。会社がその Chrome を登録するか、本人が会社の管理する Google アカウントでログインした場合です。Chrome Enterprise のヘルプは、個人の Gmail のアカウントでログインした場合は適用されないとしています。前提として、会社が Google Workspace か Cloud Identity(Google の、社員のアカウントを管理するサービス)を契約し、会社のメールアドレスが自社のものだと Google で確認を済ませている必要があります。
私物端末に残るものに関わる設定を、管理画面の表記で並べます。
| 設定(管理画面の表記) | 何が変わるか | 条件 |
|---|---|---|
| 一時的ログインモードを適用 | 個人のパソコンで作業しても、閲覧情報が残りにくくなる | Windows・Mac・Linux 版 |
| 閲覧データの有効期間 | 履歴、クッキー、パスワードなどを決めた期間で自動で消す | 最短 1 時間。同期を切っているときだけ |
| パスワード マネージャー | 新しいパスワードを保存させない | 保存済みのものは使える |
| ダウンロードの制限 | すべてのダウンロードを止められる | ChromeOS と Windows・Mac・Linux 版 |
| シークレット モード | 閉じると履歴を残さないウィンドウだけにできる | Android では強制できない |
表の「同期」は、ブラウザーの中身を別の端末とそろえる仕組みです。一時的ログインモードは、ヘルプが同期を切らないよう勧めています。閲覧データの有効期間とは同期の扱いが逆なので、どちらを使うかを先に決めます。パスワードの保存を止める設定の詳しい扱いは、ブラウザーのパスワード保存を業務で使ってよいかにまとめています。
これらの設定が働くのは、登録した Chrome か、会社のアカウントでログインした Chrome の中だけです。同じ端末でも、登録していない Chrome に個人のアカウントでログインしたり、別のブラウザーで開いたりすれば、設定は届きません。端末ごと管理する方法や画面だけを映す方法との違いは、私物端末(BYOD)で業務システムを使わせるときの選択肢で比べています。
端末の設定では消せないパスワード
ブラウザーの設定で止められるのは、ブラウザーが保存するものだけです。本人がパスワードを知っていれば、手帳や自分のパスワードマネージャーに控えられ、それは端末の設定では消せません。
私物端末にパスワードを残さないには、パスワードを本人に知らせない形を選ぶことになります。ログインのときにパスワードが画面に出ず、ブラウザーにもパスワードマネージャーにも保存されない形です。パスワードマネージャーの、パスワードを隠して共有する設定は、値が本人の保管庫に入るので、これに当たりません。詳しくはパスワードを見せない共有設定で、パスワードは守れるかにまとめています。
私物端末を認める前に決めること
- 業務のサービスを、どのブラウザーのどのアカウントで開かせるか。会社の設定が届く Chrome は限られるからです。
- ダウンロードを認めるか。ダウンロードしたファイルは、閉じても閲覧データを消しても残るからです。
- パスワードマネージャーの保管庫を、私物端末のアプリで開かせるか。写しが端末に置かれ、利用の停止がすぐに届かないことがあるからです。
- 本人にパスワードを渡すか。渡したパスワードは、端末の設定では消せないからです。
よくある質問
履歴を残さないウィンドウなら何も残りませんか
閲覧履歴とクッキーは閉じると消えます。ただし Chrome のヘルプによると、ダウンロードしたファイルとブックマークは残ります。パスワードの保存の扱いは、そのヘルプには書かれていません。
閲覧データを削除すれば保存したパスワードも消えますか
消えません。Chrome のヘルプでは、パスワードは閲覧データの削除の対象外で、パスワード マネージャーの画面から別に削除します。ダウンロードしたファイルも、一覧が消えるだけで端末に残ります。
退職者を止めれば端末の保管庫の写しも消えますか
すぐには消えないことがあります。1Password はオフラインの端末なら次にネットにつないで開くまで、Bitwarden も外したあと短い間は読めることがあるとし、どちらもパスワードの変更を勧めています。
私物端末の Chrome に会社の設定を配れますか
会社が登録した Chrome と、会社の管理する Google アカウントでログインした Chrome に届きます。登録していない Chrome に個人の Gmail でログインした場合や、別のブラウザーには届きません。
Junify の場合
- 人手で続けると
- SSO や多要素認証を入れても、対応していないサービスと共有のまま残るアカウントは手作業に残り、どこまでを仕組みで覆えているかを自分で把握し続けることになります。
- Junify なら
- Junify から開くサービスについては、パスワードや履歴が私物端末から消えたかを、退職のたびに本人に確かめる作業がなくなります。ログインは Chrome のシークレットウィンドウで動き、閉じれば閲覧履歴とクッキーは残りません。パスワードは導入時に変えて Junify だけが持ち、画面に出ず、ブラウザーにもパスワードマネージャーにも保存されません。ダウンロードはアカウントごとに禁止できます。
参考資料
- Google Chrome ヘルプ「シークレット モードでブラウジングする」
- Google Chrome ヘルプ「Chrome の閲覧データを削除する」
- Google Chrome ヘルプ「Chrome で Cookie を削除、許可、管理する」
- Google Chrome ヘルプ「Chrome でパスワードを管理する」
- Chrome Enterprise and Education ヘルプ「ユーザーまたはブラウザに Chrome のポリシーを設定する」
- 1Password Support「Best practices for securing your 1Password Business account」
- 1Password Support「If your device was lost or stolen, and it has your 1Password data on it」
- Bitwarden Help「Permanently Remove Access」
- Bitwarden Help「Data Storage」
- 総務省「テレワークセキュリティガイドライン 第 5 版」(令和 3 年 5 月)
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